40代以降に多い変形性膝関節症
40代以降に多く見られる整形外科疾患として、膝に痛みを伴う変形性膝関節症が挙げられます。
普段、私たちは歩行のときでさえ、瞬間的に体重の約7倍の力を膝で受けています。特に激しいスポーツをしていたという方でなくても、その積み重ねによって軟骨がすり減り、変形性膝関節症を発症することがあります。
立ったとき・歩くときの痛みから始まりますが、悪化すると安静にしているときも痛み、歩行が難しくなりQOLが大きく低下します。
変形性膝関節症の原因
加齢による膝の軟骨の擦り減りが根本的な原因です。年齢とともに膝関節まわりの筋力も低下することも影響しているものと思われます。
また、肥満は軟骨の擦り減りを加速させる要因となります。
変形性膝関節症の症状
- 立ったとき、歩いたときの膝の痛み
- 正座をしたときの膝の痛み
- 階段の上り下りが辛い
- 膝関節を動かしづらい
- 膝がまっすぐ伸びない
- 歩行困難
- O脚の悪化
初期には膝関節を使ったときに痛みが現れ、安静にしていると軽減します。しかし進行すると、安静にしているあいだも痛みが続くようになります。
変形性膝関節症の検査と診断
触診、レントゲン検査、あるいは必要に応じてMRI検査を行い、診断します。
炎症が強く関節液が濁っている場合には、関節リウマチ等の合併を調べるため、血液検査を実施します。
変形性膝関節症の治療
変形性膝関節症の治療法には、以下のようなものがあります。
薬物療法
消炎鎮痛薬の内服により炎症・痛みを軽減します。湿布薬、軟膏などの外用薬を用いることもあります。
リハビリテーション
運動療法、物理療法、装具療法などを行います。
当院では、医師と理学療法士が連携しながら、患者様一人一人に合ったリハビリを行います。
PRP療法(再生療法)
自己血(患者様ご自身の血液)を遠心分離したのちの「血漿」を活用する治療です。
組織の修復を促す成分を含む血漿、また血漿に含まれ止血などの役割を担う血小板を抽出し、膝へと注射することで、自然治癒力を促進します。
手術には抵抗があるという方、薬物療法やリハビリで十分な効果を得られない方におすすめです。
手術
関節鏡によるクリーニングと半月板修復、膝周囲骨切り術、人工関節置換術などが行われます。
これらの手術が必要と判断した場合には、提携する病院をご紹介します。
日常生活でしてはいけないこと
急なスタート、ストップを伴う運動
急なスタート、急なストップは膝関節に大きな負担をかけます。日常生活においても、そのような運動はできるだけ避けてください。 具体的な競技名でいうと、サッカー、野球、テニス、短距離走、スキーなどは控えましょう。またそれ以外のスポーツを継続・開始する場合も、医師と相談するようにしてください。
その他、できれば避けていただきたい行為・動作
正座、ペタン座りなど床に直接座ること
いずれの場合も、膝関節に負担がかかりやすくなります。床に直接ではなく、椅子に座るようにしましょう。
和式トイレの使用
しゃがんで用を足す和式トイレも、膝への負担が大きくなります。洋式トイレの使用をおすすめします。
布団の上げ下げ
毎日の布団の上げ下げは、気づかぬうちに膝へと負担をかけてしまいます。できれば、ベッドを使用してください。
喫煙・飲酒
軟骨の生成にかかわるビタミンCを減少させる喫煙、軟骨の弾力を低下させる飲酒は、できるだけ控えてください。